vol.6
想いがつながって力になる
TMさくら野正面玄関前の十字路そばにお店をかまえる『ときよじせつONODERA』のシェフを務める小野寺伸也さん。『ときよじせつ(時世時節)』という言葉は「その時その時の移り変わり、その時その時の巡り合わせ」という意味を持つ熟語。決まったメニューはなく、その時々の旬な岩手の食材を中心に提供されるコースディナーがメインのお店。めぐり合わせをコンセプトにしたお店は、食材と料理とお客様のめぐり合わせだけでなく、いつしか人と人のめぐり合わせまでを引き寄せ、新しい商品や想いへと発展していっている。
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奥州市水沢出身の小野寺伸也さん。専修大学北上高等学校卒業後、盛岡市にてホテル、工場、パン屋さんなどでの仕事を経て、現在のお店を経営するアリーブグループに就職し料理の道へ入ります。2017年に同グループにて出店した『ときよじせつONODERA』のシェフとして活躍をされております。コースディナーの提供がメインの他、店舗奥には菓子工場も併設されており、展開される様々なお菓子はTMさくら野でも販売されています。
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そのときそのときのめぐり合わせで出会える岩手の旬を提供することをコンセプトにしており、地元の生産者さんとの繋がりも多い『ときよじせつONODERA』。「料理もお菓子も、生産者さんが提供してくれる食材も、想いがのらないとお客様に届くというところまで到達出来ず、形に成りきらない。」と小野寺さんは想いの重要性を感じていると話されます。 コロナ禍から販売がスタートした人気な商品、手づくりパンや地元食材を使用したサンドウィッチも、丁寧に想いがこめられてつくられています。
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店内では県内の魅力的な調味料なども取り扱っています。小野寺シェフは「あんまり料理はしません」と笑いながら言います。生産者さんの想いが込められた旬な食材はそもそもが美味しさを持っているので、過度に手を加えることはしないとのこと。こういった県内の魅力的な調味料もまた、そんなシンプルだけど深みのある味わいに一役も二役も買っている大事なポイントなのだろうとお話を伺っていて感じられます。
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取材時、店内は『つながる北上さくらプロジェクト』で華やかに彩られていました。障がいや病気で中々外に出れない人のために、自宅にさくらの花を届けてお花見をしてもらう為の寄付金付きディナープランの提供を行っており、企画スタートから2024年で5年を迎えます。ケア施設の方、花屋さん、経営者さんなどとの出会いや発案・協力から生まれた企画で、人のめぐり合わせと想いが合わさって生まれたプロジェクトです。 『つながる北上さくらプロジェクト』
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こちらは一関ぽけっとの会とのつながりで生まれた、重度障がいを持つ作家さんとのコラボパッケージで展開される焼菓子商品。元々店内では同作家さんたちのコースターが使われており、作家さんたちの絵をもっとたくさんの人たちに届けるためにと発案された商品。店内での購入はもちろん、TMさくら野のホワイトデーコーナーや北上金ケ崎SAなどでも販売されています。
北上市街地で長くお仕事をされてきた小野寺さんに、今と昔の街の風景で変わったことはありますか?と聞くと、「お祭りの景色が変わった」とお話しされました。様々な世の中の変化の中で商店街の風景も変わり、かつてあったお祭りの際の出店の景色なども、大きく変化してきたとのこと。なかなかうまく活用しきれない空き物件なども増える中で、街の再開発などにも期待したいとお話ししてくださいました。そのときそのときのめぐり合わせ・めぐり会い、そして人の想いを大切に、地域の事業者さんと、市街地中心にあるツインモールプラザ、そして今後さらに盛り上がっていく街全体の未来を想像しながら、想いの輪は広がります。
ときよじせつONODERA http://www.ariv.co.jp/tokiyojisetsu.php